抗がん剤治療や頭部の手術などで頭髪が脱毛した子に、人毛の医療用ウィッグを届けようと、兵庫県丹波市の井上真那さん(小学4年生)が、このほど長く伸ばした髪をカットし、寄付した。井上さんは、「役に立てるボランティアができてうれしい」と話し、「寄付ができることをみんなに知ってほしい」と話している。
3年生だった2019年12月、長く伸びた髪を何か役に立てられないか母の美子さんと相談し、「つな髪プロジェクト」(本部・大阪市)の髪の寄付「ヘアドネーション」を見つけて協力。困っている人の力になれることを実感した。
寄付することを念頭に1年あまり伸ばし、肘ぐらいの長さにまで伸びた髪を2月にカット。同プロジェクトに再び協力した。
寄付は「31センチ以上」と「15―31センチ未満」の2種類があり、1度目は31センチ以上、29センチだった2度目のカットは15―31センチ未満の方に寄付した。
きれいな髪を届けたいと髪の質が気になるようになり、毎晩、風呂あがりにしっかり乾かすようになった。
寄付用の髪は、カット方法や束ね方など仕様が決まっており、美子さんが利用している美容室で、仕様通りに切ってもらい、髪を持ち帰って事務局に郵送した。
井上さんは「髪をしっかり乾かすのが大変だったけれど、きれいな髪をあげたかった。病気の人に使ってもらえれば」と言い、「これからも寄付を続けようと思う」と短くなった髪を揺らした。
幼い頃、井上さんは大病を患った父を見舞いに病院を訪れており、美子さんは「病気のつらさや命の大切さを子どもながらに強く感じているのでは」と、娘の心情を推し量った。