なるか「鉄壁の防御」 獣害深刻農地をフェンスで囲う ”ムラ”と大学が共同研究

2021.03.30
地域

農地を囲うように設置した防護フェンス=2021年3月15日午後2時17分、兵庫県丹波市春日町多利で

深刻な獣害に手を打とうと、兵庫県丹波市の春日町多利三農会(高橋均代表)が、同県立大学と県、丹波市と連携し、被害を軽減する実証実験に取り組んでいる。被害が頻発する農地を、素材が違う3種類の防護フェンスや電柵で囲い、効果を数年がかりで検証する。

山裾の農地で、東西に長い地形。南北の山裾には、2004年に設置された高さ1・5メートルほどの金網フェンスがあるが、東側の山は防護柵がなく、西側は集落。主に東側から野生動物が自由に出入りし、水稲や小豆などを食い荒らすという。

実証実験として、約3万平方メートルの農地を囲うように、既存の防護柵も活用しながら3種の防護柵を計約530メートルにわたって設置。すでに高さ約2メートルの金網フェンスと、黒井城跡の石垣の落石防止にも使われている耐候性に優れた樹脂製ネットを張った。4月には、草刈りがしやすいよう簡易舗装した上に高さ約1メートルの電柵を据える。設置費用はいずれも同大学の研究費で、日常の管理は同農会が担う。

同農会は、獣害被害の解決の糸口をつかむため、昨年1月、県森林動物研究センターの主任研究員で、同大学自然・環境科学研究所の山端直人教授に相談。対策指導を受ける一方で、行政を巻き込んだ獣害解決の研究対象地域として場を提供した。

山端教授は「よい成果が出て被害軽減につながり、集落の発展につながれば」と話す。高橋代表(67)は「既存フェンスの補修は、会社勤めの会員にとって、かなり負担になっている。農作物への被害軽減はもちろん、少しでも補修しなくてもよい対策が見つかれば」と期待している。

関連記事