ステッカーで詐欺防止啓発 警察と運送会社がタッグ 「防犯意識の高まり期待」

2021.05.28
地域

取り組みの初日に集まり、啓発ステッカーを手にする関係者=2021年5月20日午前10時49分、兵庫県丹波市氷上町氷上で

兵庫県丹波署は、同県丹波市内の運送会社のトラックや観光バスに特殊詐欺防止を啓発するステッカー(65センチ四方)を貼って走り回ってもらうことで視覚に訴える取り組みをスタートさせた。作製費用も関係団体が負担。ステッカーには黄色の下地に、「特殊詐欺拒否」「電話でお金の話が出たら詐欺」などの文字が並ぶ。表面は雨や紫外線にも強い特殊加工が施されている。

同署は、以前から市内児童らが描いた「あおり運転」防止の交通安全ポスターを車体に貼り啓発活動を展開していた「大伸急行」(同市氷上町氷上)に協力を要請。快諾した同社は早速、啓発ステッカーを貼った大型トラックと観光バス計10台を用意。取り組み初日の20日、後方ハッチに真新しいステッカーを貼ったトラックが早速、岐阜へ向けて出発した。取り組みは当面続けていくという。

同社の観光バスは現在、市内の高齢者をワクチン接種会場に送迎する臨時バスとして使っているため、ステッカーは目につきやすい乗降口付近に貼り付けた。同社は、同署が用意したステッカーのほかに、オリジナルでもこしらえ、2台のトラックに貼っている。

ステッカー作製費用は、丹波防犯協会、丹波警察署警察官友の会、中兵庫信用金庫、看板広告のデザインや施工などを行う会社「看広」(丹波市同町市辺)が捻出した。100枚作製しており、今後も取り組みに賛同する団体、企業を増やしていく計画。

大谷誠司署長は「市民の防犯意識が高まることを期待したい。協力いただいた団体、企業には感謝」と話した。大伸急行社長で、警察官友の会会長の北野晶三さん(73)は、「お年寄りが長年かけて蓄えたお金を、一瞬でだまし取る詐欺は許されない犯罪。犯人が犯行をためらうくらい、ステッカーを貼った車を走らせたい」と意気込んでいる。

同署によると、今年1―3月末、市内では特殊詐欺被害は認知していないが、相談は6件あった。県内では、前年同期比で35件減少したものの被害件数は210件あり、被害額は約2億8000万円(前年同期比約1億1400万円減)にのぼる。

昨年は特に同詐欺犯罪が横行し、被害件数は前年(19年)より369件増え、被害額も約5億6000万円増の約16億6000万円にのぼり、被害件数、被害額の増加率は全国ワーストだった。今後も、ワクチン接種に絡んだ新手の犯罪の発生も予想されることから、同署は警戒を強めている。

関連記事