丹波の「旬」を都市部へ
丹波地域産を中心とした野菜や果物、加工品などを仕入れ、都市部で販売している。愛車の軽バンいっぱいに詰め込んだ「旬」を運ぶ“八百屋”は、元格闘家という異色の経歴を持つ。
丹波市柏原町出身。幼いころ、人の輪に入ることが苦手だった。いつも抱いていたのは「強さって何」という感情だったという。自身で出した結論は、「格闘家になれば分かるかもしれない」。
柏原高校時代は少林寺拳法部に所属。卒業後は大阪市の専門学校に通いながら、プロも所属していた格闘技サークルに入った。打撃や締め技などで競う総合格闘技のアマチュア全国大会でベスト8入りも経験した。
25歳の時、総合格闘技団体「パンクラス」でプロデビュー。ジム仲間の投票で決まったリングネームは「パンティー山内」だった。「『さすがに恥ずかしいわ』ということで、抵抗して『パンチィー山内』に変えてもらいました」と笑う。20試合以上を戦った。
32歳で引退。食べることは強さに直結すると考え、丹波市内の工場で働きつつ地元農家のもとで農業を学んだ。合わせて、仕入れた旬野菜を都市部で販売することもスタート。農家で修業していた時に出来たつながりが生き、地元農家から新鮮な野菜を直接仕入れることもでき、扱う商品に幅が持てたという。
格闘技を通じて身に付いた「強さ」は、体力面だけでなく、精神面が大きいと語る。「自分に自信が持てるようになった。人とのつながりが広がり、いろんな世界が見えた」と話す。次の目標は、ネット販売に力を入れることという。「自分がおいしいと思った野菜を広めたい」。39歳。