兵庫県が今春から丹波並木道中央公園内で整備を進めてきた自転車の観光拠点「サイクルステーション」の供用が始まった。竣工式がこのほど、同施設で行われた。県内8つのモデルルートのうちの1コース「兵庫丹波チャレンジ200」(全長約200キロ)の拠点として整備。休憩スペースやトイレ、シャワー室などが備わった、自転車愛好家待望の施設が完成した。公園に訪れた人は誰でも利用できるため、地元住民にも利用しやすい公園となる。
県のサイクルステーション整備は、播磨中央公園(加東市)に次いで2カ所目。
丹波並木道中央公園第1駐車場入り口付近に位置し、県産木材を利用した木造平屋建て。建築面積は約160平方メートル。三角形の部材を組み合わせる「トラス工法」と呼ばれる構造で、広い空間を確保しながら、並木の景観となじませるデザインに仕上げた。総事業費約6300万円。
屋外には15台収容の「サイクルラック」(自転車置き場)、屋内には休憩スペース(62平方メートル)、トイレ(男・女・多目的)、シャワー室(男・女、管理棟で1回5分の無料コインを受け取る)、更衣室(男・女)を備える。利用時間は午前9時半―午後4時半。供用に伴い、同施設横の駐車場(4台分)と第2駐車場を24時間利用できるようにした。
竣工式には、地元まちづくり協議会長や自治会長らも所属する、公園づくりの推進グループ「森の円卓会議」委員や、行政、自転車愛好家、工事関係者ら約40人が出席。今井良広県民局長は「公園の集客力向上に期待する。今年度、案内サインなどの整備を進めたい」、県自転車競技連盟の石井秀武会長は「サイクリストの交流にとどまらず、多くの方の利用で丹波地域の魅力を再発見する場として期待する」とあいさつした。
地元愛好家らも出席し、丹波サイクリング協会の松井崇好会長は「無料でシャワールームが使え、サイクリストにとってとても重宝する。愛好家だけでなく、ファミリーでも気軽に使えるのがいい」と喜び、丹波篠山市内の2カ所で「自転車工房ハイランダー」を営む村上大輔さんは「電車に持ち込める折り畳み自転車もはやっており、JRの駅にも、高速インターにも近いのでサイクリストに便利な拠点ができた」と話した。
竣工式後、関連事業として県民局が同モデルルートを広める1泊2日のイベント「フルコースライド」を開催。県内外から参加の20人が同施設からスタートを切り、ご当地食材を使った休憩所(両日で10カ所)に寄ったり、同県丹波市春日町で宿泊したりしながら、秋の丹波路を楽しんだ。
県民局は昨年11月に100キロを走る日帰りの「ふるさとグランツール兵庫丹波2020」を開催。宿泊を伴う200キロフルコースでの開催は今回が初めて。