兵庫県丹波市の西山酒造場、山名酒造、鴨庄酒造の蔵元3社がこのほど、温度が年間を通じてほぼ15度という同市の三宝ダムの管理トンネルに日本酒などを貯蔵・熟成させる蔵入れを行った。丹波の地酒に付加価値を持たせてPRしていこうと、丹波県民局が音頭を取って進めている、昨年に続き2度目の取り組み。
初の取り組みとなった昨年は、県が2018年に酒造好適米として開発した「Hyogo Sake 85」(ヒョウゴ サケ エイティーファイブ)を原料とした日本酒、地元産コシヒカリを使った純米酒、栗焼酎など計1100リットルほどを蔵入れ。10月上旬に販売したところ、3社の商品とも早々に完売する人気ぶりだったという。
今年は、「―85」で仕込んだ純米大吟醸酒や純米吟醸酒をはじめ、山廃純米シェリー樽熟成、国産酒米で仕込んだ純米酒など合わせて瓶1582本(963・6リットル)を蔵入れした。9月下旬に蔵出しし、10月上旬から販売を始める計画。
西山酒造場の営業一課、荻野智行さん(48)は、「貯蔵することで、日本酒が苦手という人が嫌う『熟成香』の発生を懸念していたが、取り越し苦労だった」といい、「3蔵がつながりを持ち、協力し合うことで大きな発信力が生まれる。日本酒ファンの拡大を目指し、丹波の振興に寄与していけたら」と話している。
同トンネルは高さ約2・5メートル、幅約2メートル、奥行き約50メートル。ダム建設時に漏水防止工事を行った際の作業道で、その後も点検道として使われている。