結び直す家族の絆描く 自費出版小説の「完結編」 コロナ禍で一気に執筆

2022.05.12
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小説「二つの墓標―完結編―」を自費出版した椋さん=兵庫県丹波篠山市北新町で

兵庫県丹波篠山市南新町の椋弘士さん(63)が、小説「二つの墓標―完結編―」を、幻冬舎から自費出版した(1430円)。島根県の漁村で目の見えない祖母と暮らす、言葉の話せない少年が、漂流した韓国の兵士と出会ってから人生が大きく変わり始める―というストーリーの続編。完結編では悲運の末に流れ者となった少年の友人がデカンショ祭で屋台を出すシーンや、沢田地区の「鱧(はも)切祭」の紹介もあり、地元丹波篠山を登場させている。

昨年5月に出した前作では、成長した主人公が仕事中に不慮の事故で亡くなるまでを描き、完結編では、主人公の家族、親戚らが、不思議な縁や出会いをきっかけに、いったんはばらばらになりかけていた絆を結び直していく様子を描いた。

時代背景は朝鮮戦争からベトナム戦争の頃。椋さんは、ロシアのウクライナ侵攻とも重ね合わせ、「戦争は兵士だけではなく、兵士の家族や周囲の人までが、いかに苦労するかを小説の中に垣間見てくれたら」と話す。さらには「一方で、人はいかに苦しい状況におかれても、明るくポジティブに生きようとする習性のようなものがある。私自身、幼い頃に貧乏だったが、腐らずに生きながら倫理観を身に付けていった。生活からこびりついた感覚が作品に出てくるのかも」と振り返る。

椋さんは島根県益田市の出身。現在は北新町で黒豆加工専門店を営んでおり、新型コロナウイルスの影響で客足が遠のいていた一昨年、執筆に没頭。原稿は今回の完結編まで一気に書き上げていた。

1500部発行。TSUTAYA篠山店、「アマゾン」などで購入できる。

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