国重要伝統的建造物群保存地区に指定されている兵庫県丹波篠山市河原町の「河原町妻入商家群」などで17日、芸術家が作品展示を行う「丹波篠山・まちなみアートフェスティバル2022」(実行委員会主催)が始まった。訪れた人々は、 “美術館”となった伝統的な町屋の中で、さまざまなアートを楽しんでいる。期間は19日までと22―25日。時間は午前10時半―午後4時。
上河原町、下河原町、小川町の町屋27軒を会場に、絵画や陶芸、造形、書、写真、木工など、多彩な感性を持つ作家46人が参加している。
あさうみまゆみさん(丹波篠山市)は、会場の町屋のかつての姿から発想を広げ、「リカーショップの九十九神(つくもがみ)」と題した造形作品を制作。長く使われた道具に宿る精霊「九十九神」にちなみ、いろいろな生活雑貨とともに、手作りの布人形約90体をユーモラスに並べ、来場者を和ませている。
丹波焼作家の大上裕樹さん(同市)は、会場の和室からイメージを膨らませ、「彗(すい)」と題した陶器と黒砂の作品を創作。丹波焼の伝統的な技法「鎬(しのぎ)」で模様を付けた球体や器を、黒砂に埋もれるように約20個配置し、宇宙空間を感じさせる“箱庭”を創り出している。
三宅之功(しこう)さん(兵庫県三田市)は、高さ2メートルの巨大な卵のモチーフを屋外に展示。鉄の骨組みにセメント、しっくい、土を混ぜてこてで仕上げた作品で、表面に紅葉種のツル植物をはわせている。「生生世世(しょうじょうせぜ)」のタイトルで、世代交代しながら生まれ変わる命を表現したという。
大阪市から家族5人で訪れていた男性(50)は「人が作ったものとはいえ、自然のもののように感じますね。石とツタが、卵の割れ目のようにも見えて、中から何か出てきそう」と笑顔で話していた。
詳細はイベントのホームページに掲載。