「黒豆コーヒー」開発 名産地の黒大豆100%使用 規格外品活用、食品ロス減にも

2022.10.26
地域

西八本店と共同開発した「黒豆コーヒー」を手にする佐藤さん=兵庫県丹波篠山市西町で

兵庫県丹波篠山市西町のコーヒー店「珈琲豆 誠」と同市の特産品を取り扱う小売店「西八本店」(同市二階町)が、同市内でも有数の黒大豆の産地として知られる川北地区の農家から仕入れた豆のみを使った「黒豆コーヒー」を共同開発した。黒大豆の香ばしい香りと濃厚な苦みが感じられるノンカフェインのコーヒー。サイズの小ささや形の悪さなどから廃棄されていた規格外品の有効活用にもつなげる。

「誠」で提供。丹波焼の約60窯元のマグカップの中から、好みのカップに注いでくれる。黒豆のしぼり豆を添えて600円(税込み)。

誠代表で、全日本コーヒー検定委員会が認定する「生豆鑑定マスター」などの資格を持つ佐藤誠さん(51)が、色合いを見ながら15分ほどかけて深めに炒った黒大豆を粉砕。「コーヒープレス」と呼ばれる器具でいれることで油分まで抽出でき、まろやかな口当たりと、黒大豆本来の風味を引き出す。

「コーヒー豆と黒豆をブレンドした黒豆コーヒーは多いが、黒豆100%のものは少ない」と佐藤さん。「観光客に飲んでいただきたい。ノンカフェインなので、健康志向の人にもお薦め。ゆくゆくはティーバッグにして売れたら」と話している。

西八本店を営む長澤比呂人さん(66)は、黒大豆を扱う中で、味は変わらないのに廃棄される規格外品の問題に着目。日本農業遺産に認定された黒大豆の普及と、食品ロス減につなげられないかと、佐藤さんに黒豆コーヒーの開発を持ちかけた。来店客らからたびたび「黒豆コーヒーはないの」と尋ねられていたこともあり、思惑が合致した。

長澤さんは「黒大豆を余すことなく使える。自分たちでできる範囲内での『SDGs(持続可能な開発目標)』。食品ロスについて関心が高い若者にも、黒大豆や農業に興味を持ってもらうきっかけになれば」と話した。

黒大豆の農業システム継承やブランド保持に向け、市民らが取り組む事業を支援する市の「日本農業遺産を生かしたまちづくり事業」の補助金を活用した。

誠の営業時間は午前10時―午後5時。火曜定休。

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