兵庫県丹波市の県立氷上高校3年生の9人が、兵庫医科大学と連携し、セリ科の薬草「トウキ(当帰)」の葉を練り込んだソーセージを開発した。きょう30日、薬草薬樹公園リフレッシュ館周辺(同市山南町和田)で開かれる「漢方の里まつり」の会場に同大と一緒にブースを構え、お披露目、販売する。
5本入り(200グラム)650円。県内産の豚肉に、校内で栽培したトウキの葉を乾燥粉砕したものと、煮だしたトウキ葉エキスを練り込み、腸詰めした。パリッとした歯応えに続いて、口の中にたっぷりの肉汁とセロリにも似たトウキの香りが広がり、食欲をそそる。
開発した9人は、3年生(85人)の授業「課題研究」の複数班あるうちの「丹の商」班のメンバー。起業意識を持って農業に取り組めるよう、生産、加工、販売の一貫した6次産業化体験に取り組んでいる。
昨年、同高2年生の「起業経営」の授業を同大薬学部の地域連携チーム「薬活オウルズ」がサポート。同大は2014年から、江戸時代から続く薬草の産地、同市山南町和田地区の薬草を通した地域振興に取り組んでおり、「薬草王国」復活への願いを込めてトウキ苗を同高に提供、生徒たちは校内で栽培してきた。
生徒たちは、同チームのメンバーからアドバイスを受けながら、トウキ葉を使った商品開発に着手。25もの商品アイデアを出す中で、香りの強いトウキは肉との相性が良いことが分かり、トウキ葉ソーセージを商品化することにした。
3年生となり、丹の商班が取り組みを継続。試作を重ね、今夏には同チームと交流・試食会を開き、完成に向けて大きく前進した。
これらの1年半にわたる取り組みを、7月下旬、四季の森生涯学習センター(同県丹波篠山市)で開かれた農業クラブ県大会で、班員の一人、辻紳永門君(丹波市立青垣中出身)が発表し、優秀賞を受賞。商品化に向け、弾みをつけた。
辻君は、「トウキ特有の香りを生かした自信作。これらの活動を通じて、『薬草王国』復活への一助となれるよう、まつりではしっかりと素晴らしい和田地区の地域資源をPRしていきたい」と話している。