焼ビーフンでおなじみの「ケンミン食品株式会社」(神戸市)が、同社篠山工場(兵庫県丹波篠山市泉)前の冷凍自販機で、丹波篠山産の黒枝豆「丹波黒」と、山形県鶴岡市白山地区産の枝豆「だだちゃ豆」の食べ比べセットの販売を始めた。黒大豆卸売業「小田垣商店」(丹波篠山市立町)と、同地区で栽培を続ける「與惣兵衛(よそべい)」がタッグを組んだ。味、大きさは違えども共に高いブランド力を持つ枝豆の魅力が感じ取れる。40セット限定。
小田垣商店が扱う黒枝豆の冷凍加工を手掛けるケンミン食品が考案。東日本を中心に知られるだだちゃ豆と、主に西日本で名高い丹波篠山産黒枝豆を食べ比べることで、双方のブランド力向上と、魅力の再発見につなげたい考え。
地域貢献の一環で、丹波篠山市泉にあるケンミン食品の自販機で売り出すことに。同セットには、両者の豆が1袋(200グラム)ずつ入っている。税込み1500円。
両者のタッグが決まり、小田垣商店生産仕入課の吉田知運課長と、黒大豆生産者の古屋成人さん(丹波篠山市寺内)、與惣兵衛の渡部康貴代表による座談会が10月28日、同商店で開かれた。それぞれの立場から、栽培のこだわりや歴史などを語った。
同地区発祥のだだちゃ豆は小粒で、糖度が17度以上とブドウ並みの甘さを誇る。渡部代表は「『だだちゃ』は鶴岡の方言で、『お父さん』を意味する。当時の殿様が枝豆を食べたときに『どこのだだちゃが作ったんだ』と聞いたのがきっかけ」と紹介し、「江戸時代から代々、種を外に出さず、残し続けながら作っている」と、こだわりを伝えた。
吉田課長は「昭和59年ごろに小田垣商店で販売を始めた当初は、見た目がきれいな青い色ではないためクレームがあった」と、商品化までの苦労を明かし、「漫画『美味しんぼ』の14巻で『ビールと枝豆』というタイトルで掲載され、世の中に広まった」と紹介した。
古屋さんは「11月中旬にうね立てをし、枝付きを良くするために、年明けには管理機で土を細かくする。月に1回は谷さらいをし、水はけを良くする。昔ながらの手作業が多く、常に天候やほ場の状態を見ながら、丁寧に作業している」とこだわりを語った。
ケンミン食品が冷凍加工を手掛ける小田垣商店の黒枝豆は、今年も販売する。