兵庫県丹波篠山市古市地区内で来年1月、有機農業や林業の仕組みが学べるスクール「Be Satoyama 2030」が開講する。市内の農家ら有志6人が展開する、里山の環境を活用して地域経済を循環させる取り組み「ミチのムコウ」プロジェクトの第2弾。再来年1月まで計11回のカリキュラムで、専門家による講義や、畑や山などでの実践作業を通じ、里山での仕事が人々の暮らしにどう関わっているかを肌で学ぶ。受講生の1次募集は、15―30日。
不来坂集落内のほ場約35㌃と、同プロジェクトリーダーの吉良佳晃さん(38)の父・正博さん(不来坂)が所有する山約1㌶を実践作業のフィールドにする。ほ場の中には元々、耕作放棄地だった場所もあり、作業を通じて里山の再生にもつなげる。
スクールは基本的に、講義と実践作業を午前と午後で分けて行う。各回、市内で活躍する各分野の専門家らが講師を務める。講義では、里山資源のマーケティングや耕作放棄地の現状、水田や丹波黒大豆の歴史、獣害対策、木々の伐採方法などについて学ぶ。実践作業では、開墾やトラクター実習、草刈り、獣害電気柵の設置、黒大豆の種まき、針葉樹や広葉樹の伐採・皮剥ぎ、伐採後の木材の加工などを予定している。黒大豆栽培には農薬や化学肥料を使わず、枯れ草を堆肥として活用する。
特に、里山暮らしを検討している都市住民や、有機農業、持続可能な開発目標(SDGs)、週末農業に関心が高い人たちに向けた内容となっている。
SDGsの達成期限として設定されている2030年まで継続して実施する。プロジェクトリーダーの吉良さんは30年時点での理想像として「里山の環境資源が流通面からしっかりと活用できるようになり、結果として環境保全につながっていること」を掲げる。
「山の課題は単独であるのではなく、全てつながっている。どう解決していくか意見交換しながら、里山の奥深い仕組みを体感してほしい」と、参加を歓迎している。
年間参加費は、税込み19万8000円。募集人数は15人(法人、グループでの申し込みも可)。先着順。応募条件は18歳以上で、健康であること。
同プロジェクト第1弾では、古市地区内の田んぼで酒米を栽培し、収穫後に酒蔵「狩場一酒造」(波賀野)で日本酒にする催しを企画した。