兵庫県丹波市の柏原高校でこのほど、1年生(194人)が投資の基礎知識を学ぶ授業があった。県金融広報中央委員会の金融アドバイザー、大石泉さんが講師を務め、お金の「貯める」と「増やす」の違いを伝え、債券や投資信託といった4つの金融商品の特徴などを教えた。
大石さんは、お金についての知識を正しく理解し、適切な判断ができる能力「金融リテラシー」の重要性を説いた上で、増やし方には▽働いて稼ぐ▽支出を減らしてためる▽たまったお金を投資に回す―の3つがあることを説明。「銀行に預けると、預けたお金に対して利子という対価が支払われるが、現在その金利はほぼゼロに近い。金利が0・001%だとすると、100万円預けたとしても1年後の利子はたったの10円」とし、「たまったお金を投資に回し、お金に働いてもらう方法もある」と伝えた。
投資運用の仕方にも、最初の元本のみに利子が付く「単利」と、元本と利子を元手として運用し、両方に利子が付く「複利」があることを説明。100万円を利率5%で40年間運用すると、単利では300万円となるが、複利の場合は704万円にもなることを解説した。
さらに、「お金に働いてもらう」金融商品には、▽どのくらい利益が期待できるかという「収益性」▽お金を引き出しやすいかという「流動性」▽元本が減らないかどうかの「安全性」―という3つの性格があり、「3つ全てを完全に持ち合わす金融商品は存在しない」と注意を呼び掛けた。
金融商品の種類は、銀行などに預ける「預貯金」のほか、▽国や会社にお金を貸す「債券」▽気に入った会社の株券を購入し、資金面で支援する「株式」▽多くの人から集めたお金を一つにまとめて大きな資金にし、株式などに投資する仕組み「投資信託」―などがあることを紹介し、「預貯金は一般的に収益性が低いが、安全性と流動性は最も高い。株式は安全性は低いが、高い収益性が期待でき、流動性も高い」などと説明した。
金融経済教育としての家計管理、人生設計を学ぶ家庭科の授業の一つ。