「納得解」を大事に 園・小教職員が連携研修 出身の大学教授招き

2023.09.01
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研修会内で意見交換する認定こども園、小学校の教職員ら=兵庫県丹波市市島町上田で

小学校の統合が進む兵庫県丹波市市島地域の認定こども園と小学校の教職員間で指導方針を共有すべく、初めての「市島地域幼少連携研修会」がライフピアいちじまであった。同地域内の2認定こども園、4小学校の教職員計約70人が参加。市島町上垣出身で、佛教大学教育学部の高見仁志教授(59)が講演し、「正解主義」にとらわれず、一人ひとりの個性を重視した指導の重要性を説いた。

同地域の認定こども園長、小学校長らが企画した。演題は「保幼子小連携―アプローチ期とスタート期」。高見教授は、教職員同士で意見交換する時間を多く設けながら、軽快な語り口で講演した。

幼少期の指導のポイントを説く高見教授

冒頭、幼少教育で共通して重視され、数値で計れない「非認知能力」で大切にしていることについて、教職員同士で意見交換。「思いやり。自分を大切にできれば、他人も大切にできる」「協調性」などの意見が出た。高見教授は「予測困難な『VUCA時代』だからこそ、人としての土台が重要になる」と語った。

また、世界トップクラスの水準とされ、視察で訪れたフィンランドと日本の教育を比較。意見交換など他人との相互作用を通じて学びを深めるのは共通しているが、日本で多く見られるような個人の意見を班でまとめ、学級内で共有するような活動はなかった。視察先の学校教諭に「どうしてシェアしないのか」と聞くと、「なぜ学級全体を意識する必要があるのか。全体を同じトーンにしてしまうような教師の働きかけが、子どもたちの自由な発想や学びの可能性を制限してしまわないか。先生が確認したいだけでは」と返されたという。

さらに、それぞれ形が違う容器に入っている水の量はどちらが多いかを比べる問いに対し、教室の外から雑巾を持ってきて「どっちが先に染み込むかで分かる」と答えた小学校の教え子の例を紹介。同じ形の容器に入れて比較するのが「赤本」の正解だが、高見教授は「間接比較」の思考ができているとして、学級通信で褒めたという。「大人の狭い考えや狙いに無理に引き込まず、子どもの『納得解』に可能性をみて」と伝えた。

また、竹田、前山の両小学校の教師が、認定こども園と連携して行っている取り組みを発表した。

認定こども園あいいくの丘幼稚園部主幹教諭は「同じ場で、園のことも知ってもらえて、小学校の取り組みも知れた。大事な会」、吉見小教諭は「『うまい』『下手』だけでなく、根底に感じている『楽しい』という気持ちを認めてあげられるように教えたい」と話した。

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