とふめし

2007.01.29
未―コラム記者ノート

 篠山市大山地域の住民が、120年ほど前から伝わる「とふめし」を商品化する。おにぎりをいただいたが、さばの旨味と醤油を含んだ「田舎の味」が口の中に広がると、何とも幸せな気持ちだった。とてもおいしい。 「とふ」とは豆腐で、野菜と一緒に炒められた木綿豆腐が入っている。牛とか鶏などの肉類は入っていない。発祥の地である長安寺や町ノ田周辺にはかつて豆腐屋が何軒もあったそうなので、そういった風景の中から生まれた料理なのだろう。「お講の際、ごぼうやニンジンを炊いて別々に出していたが、使う皿が多くて大変なので『一つにしてしまえ』と混ぜたことが始まり」という大らかな誕生秘話があることも、なかなか楽しい。 大山地域の別の集落に生まれ、約60年前まで暮らしていた祖母はとふめしを知らなかった。広く知られ始めたのはここ10数年のことらしいので当然なのかもしれないが、「聞いたことない」と言い切るあたり、本当にローカルな料理だったようだ。5日からJA丹波ささやまのファーマーズマーケットに出品される。大山の風土が育んできた味が、篠山の新しい名物となることを期待したい。(古西広祐)

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