卓上かまど販売へ 技術継承に火鉢も制作 左官技術研究会

2013.07.04
ニュース丹波篠山市

写真・先輩職人の指導を受けながら、 竈(右)や火鉢の制作に励む若手職人たち=篠山市宮田で

 大工や造園など、 建築に携わる職人の養成施設 「篠山技能高等学院」 (篠山市宮田) が、左官技術の伝承を目的に伝統工法を学ぶ講習会を同学院で開いている。 篠山市左官技術研究会 (人見正美会長) の会員と、 会員と現場を共にしている若手職人ら計15人が受講。 講習会の課題である卓上用の竈 (へっつい=かまど) と、 火鉢づくりに励んでいる。 竈は販売に向け、 注文を受け付けている。

 

 同講習会は先月16日からスタート。 毎週日曜、 同学院に集まり、 若手・中堅職人らが、 腕に覚えのある先輩職人から指導を受けながら、 今月21日までの計6回で課題作品を仕上げる。

 卓上用の竈の大きさは、 1合用の羽釜をのせるタイプのもので直径約25センチ、 高さ約12センチ。 プラスチック容器を型にし、 その周囲に水で固めに練った土を積み上げる 「版築工法」 で成形。 「色漆喰磨き工法」 で上塗りし、 カラフルに仕上げる。

 すでに竈を数基こしらえ、 普段使用している人見会長によると、 蓄熱性の高い土製であるため、 1合の米を炊くのに必要な燃料は、 30グラムの固形燃料1個のみで、 蒸らす時間を入れても約40分間で炊き上がる。 土製とはいえ、 上塗りに防水効果のある漆喰を用いているため、 吹きこぼれた熱湯が竈表面を流れても破損することはないという。

 人見会長は、 「40年前に台所から姿を消した竈さんを現代の生活様式に合わせ、 卓上テーブルの上に復活させたい。 昔ながらの土かまどで炊いたご飯のおいしさを味わってほしい」 といい、 「燃料は固形燃料1個で事足りるので、 災害時にも役立つのでは。 左官技術のPRと併せ、 優れた日本の伝統文化を見直すきっかけになれば」 と期待している。

 火鉢も竈と同様の製法で造っている。 大きさは直径、 高さともに約30センチ。 表面は、 土を光沢が出るまで磨く伝統工法の 「大津磨き」 で仕上げている。

 卓上用の竈は、 販売していく。 いずれも羽釜付きで、 1合用が2万円、 3合用が5万円、 5合用が8万5000円。 竈の色は好みの色に仕上げることができる。

 問い合わせは、 人見会長 (090・3995・7122)。

関連記事