闇に浮かぶ“瑞鳥” コウノトリが雄雌で飛来 「巣塔あれば…」


飛び立つ前の準備体操をするコウノトリ=兵庫県丹波市市島町で(井上さん提供)

 8月18日ごろから兵庫県丹波市市島町東勅使、同町梶原周辺で餌をついばみ、寝泊まりしている雄雌のコウノトリの観察を、愛好家の井上勉さん(72)が続けている。日の出前、日没後と、1日2度姿を確認しカメラに収めるなど熱を入れている。以前から「有機(野菜)の里として知られる市島に繁殖用人工巣塔の建設を」と各方面に働きかけており、「巣塔があれば」と、カップルの飛来で思いをいっそう強くしている。

 前日の荒天から一転、朝焼けが広がった今月12日午前5時25分ごろ、別々の電柱の先端に並ぶようにとまっている2羽を見つけ記録用の撮影を始めた。すぐに1羽が翼をばたつかせ準備運動。同5時31分に、ちょうど通りかかった電車の頭上を飛び、田んぼに着地した。数分後にもう1羽が、反対方向に飛び立った。

 「飛び立つ時間は、毎朝大体同じ。飛ぶ前に翼を広げて見せ場を作る。なかなかの役者や」と笑う。「電柱で寝ており、体が大きいので見つけるのは簡単。降りる田んぼも大体似たような所」と言う。

4年連続丹波市を訪れているメスの「J0131」(左)と、オスの「J0160」=兵庫県丹波市市島町で

 2017年秋に個体識別番号「J0131」が1カ月半滞在したのをきっかけに「『有機の里市島』にぴったり」と、仲間と同鳥を定着・繁殖させる運動を始めた。県立コウノトリの郷公園(豊岡市)から講師を招いて研修会を開き、市にも働きかけた。約80万円で巣塔が作れることも調べた。

 「J0131」(16年4月15日生まれ)は、16年秋に同町、18年春に春日町で目撃されており、4年連続丹波市に飛来している。確認されている過去3回は、”1人旅”だった。


日の出前、電柱に止まったコウノトリの姿を写真に収める井上さん=兵庫県丹波市市島町で

 「丹波市を気に入ってくれているメスがいて、つがいで来てくれている。巣塔があれば繁殖期の春に営巣が期待できるのに」ともどかしい思いも抱えている。「福井県などは人口巣塔で繁殖を成功させている。コウノトリはシンボルになる。巣塔設置を働きかけていきたい」と話している。