大量の情報、 瞬時に
富士通部長・マネージングコンサルタント 大槻晃久さん (千葉県在住)
「業務パッケージ」 という財務・会計・人事・給与など企業の管理部門で用いるコンピューター・ソフトの開発に携わって20年。 「この間にコンピューターの価格は億単位から十万円台に。 速度も一万倍になり、 技術の進歩は目を見張るものがあります」
パッケージに含まれる情報量は膨大で、 例えば経理システムのソフトは160万行 (一行は約百字)。 「週2回発行の丹波新聞八ページの紙面なら、 16年分に相当します」。 演算能力は、 5000人分の給与計算を1分以内ですませるという。
ただ、 ハード面の進歩に比べ、 ソフトの開発はそれほど容易ではない。 意外に 「属人性の高い」 仕事のため、 入社以来ずっと同じ職場に。 「ソフトの開発は積み重ねですから、 歴史を知らないとできないんです」 最初の10年はプログラマーとしてソフトの製造にかかわった。 高価なコンピューターを交替でしか使えず、 納期に間に合わせるため職場に泊り込みが続いたことも。 しかし、 「この職種は頭の柔らかい30歳までと言われ」、 現在は100名の部下のマネジメントが主な仕事。 「それなりに面白いのですが、 システムエンジニアとしては満たされないので、 趣味で 『ハイパー時刻表&ホテル情報』 のホームページを開設し、 そのメンテナンスを楽しんでいます」。
http://www.hypertimetable.com
ビジネスマンの出張者に便利な新幹線、 飛行機、 ホテルなど関連情報を掲載し、 利用者に無料で提供している。 月間百万件のアクセス数。 このうち約半数がリピーター (複数回利用者) と見られ、 この種のサイトでは驚異的な利用数という。
福知山線も掲載し、 沿線に住む同好の士の書き込みも楽しい。 「篠山口乗り換えの電車が増え、 ちょっと不便になりましたね」
長男なのでいずれは丹波へ帰るつもり。 「先々いろんな業種のサイトとリンクして、 次々に間口を広げていけば、 丹波にいながら電子ビジネスができます。 インフラの整備が整い、 日本のIT産業はこれからどんどんよくなりますよ」と夢は膨らむ。
(上 高子)
(おおつき・あきひさ) 1958年 (昭和33年) 市島町下竹田生まれ。 柏原高、 関西大工学部卒。 80年富士通入社。 2年前よりGLOVIA開発事業部第2パッケージ部長。