50路越えて作家デビュー 西安 勇夫 (にしやす いさお) さん

2005.03.20
たんばのひと

 サラリーマン時代に単身赴任した米国生活をもとにした小説 「ミシガン無宿」 (碧天舎出版) で、 52歳にして作家デビューした。 病気をきっかけに33年勤めた会社を辞めてから、 約1年。 人生の舵を大きく切り換え、 ペンの道の第一歩を踏みだした。


  「退職のきっかけになった病気は、 心筋梗塞です。 2004年の2月に発症しました。 それまでタバコは吸うわ、 酒は飲むわの不摂生な生活だったので、 来るべきものが来たわけです。 5時間半の手術を受けて、 3カ月入院しました。 その時、 結婚後初めて妻とゆっくり過ごしたんですが、 『精一杯走ったので、 この辺でいいんじゃないか』 と退職を決めました。 妻は反対せず分かってくれました。 ありがたかったですね」 「作家を志し始めたのは、 40歳くらいから。 書くことは嫌いではなかったですし、 本も好きでたくさん読んでいました。 それで、 『自分でも書けるのでは』 と。 定年後にめざすつもりだったんですが、 病気で早くなりました」   「『ミシガン無宿』 には、 赴任当時の経験をほとんどそのまま書きました。 ただ、 思い出を懐かしがるだけのものは書きたくなかった。 日本の技術の凄さや、 信念を貫くことなどを込めたつもりです。 16日から書店に作品が並び始めましたが、 それを見るまでは本当に出るのかと半信半疑でしたね。 今は、 『やっとこぎつけた』 という思いです」   「会社では、 自社で使う機械や生産ラインの設計製作に長く携わり、 100数10台の設備を設計しました。 作家として100数10冊は無理でも、 20冊は本を出したい。 日本で純粋に作家で生計を立てているのは、 10人ほどと言われています。 非常に厳しい世界なのは分かっていますが、 とにかく土俵にあがらないと。 読者をうならせる文章を書いていきたい」


 部屋には本棚とともに、 バイクと歌手矢沢永吉のポスター。 50歳を超えた今でも、 青春時代の若々しい心を持ち続けている。 不良中年を自認する新人作家の活躍を期待したい。 「ミシガン無宿」 は主要書店で発売中。 定価1050円。 丹波市市島町与戸。

(P)

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