青少年読書感想文県コンクールの高校生の部で、 「県知事賞」 を受賞し、 来年1月に行なわれる全国コンクールに応募される県代表に選ばれた。 題材にしたのは、 ユダヤ人精神分析学者、 ヴィクトール・E・フランクル著の 「夜と霧」。 ナチス強制収容所における過酷な自らの体験を記したもので、 死と隣り合わせの過酷な状況の中において、 病に伏す人にわずかな食事の中からパンを分け与えたり、 励まし合う人の姿が描かれている。
「読んだ後の感動は、 圧倒されるほどでした。 とにかく、 こんなすごい人がいたんだということを知ってほしいという気持ちで書きました」
「人間はどんなに厳しく、 自由が制限された状況でも、 どういう生き方をするかはどこまでも自分で決めると書かれてありました。 パンを分け与えた人も自由な精神で生きたと」
「この本は単に戦争がいかに悲惨だったかを書いただけでなく、 人間の生き方がテーマになっていました。 自分たちにとっても切実な問題で、 感想文を書く上で、 この本が言おうとしていることを、 日々の生活の中でどう生かしていくべきかを考えました」
「この本を通じて、 『生きる覚悟』 を考えさせられました。 他の人にパンを分け与えることで自分も死ぬかもしれない。 自分が同じ状況でパンをあげられるかは分からないけれど、 死と隣り合わせの状況で、 人間にはそんな行動もとれるんだという 『人間のすごみ』 も感じました」
「読み終えて、 自分がどういう状況にあったとしても、 そこで自分は何をすべきかを考え、 現実にぶつかっていく姿勢を大事にしたいと思いました。 本当にいい本に出会えた。 自分が賞を取ったことで、 この本を読んでみようと思ってくれる人がいれば一番うれしい」
読書が好きで、 ここ最近では一番感動した本だという。 ゆっくりと言葉を選びながら、 時に目を輝かせながら、 本の内容や読んだ感想を話す様子からは、 山本君にとっていかに大切な一冊になったかが伝わってきた。 柏原高校の2年生。 丹波市柏原町挙田。 16歳。 (芦田安生)