ドメスティック・バイオレンス

2007.01.30
未―コラム記者ノート

 夫や恋人からの暴力、ドメスティック・バイオレンス(DV)の研修会を取材した。柏原健康福祉事務所によると、DVの相談件数はそう増えてはいないものの、複雑で対処が困難な相談が増えつつあるという。相談窓口の市(74-1601)や丹波の森公苑(72-5168)を訪れる人はわずかで、水面下で苦しんでいる人が多いという。 既婚者の場合、丹波地域では「家を守る」意識が強く、この意識が悩みをより深くする。さらに「あなたさえ我慢すれば」といった周囲の助言も、本人を苦しめるという。 DVは、身体的なものに限らない。「『力』によっておびえ、コントロールされる状態」を言う。直接手を上げなくても、家の中の物を壊したり、おどしたりすることもDVに入る。講師を務めた神戸市看護大の高田昌代教授によると、米国のデータだが、加害者が訓練を受けて一時的に更生する確率は50%、完全に更生するのはわずか2%だという。 研修中何度も繰り出される「命の危険」「身の安全」という言葉を聞きながら、同じ市内にあまりに悲惨な問題を抱え、悩みの淵で苦しんでいる人がいる現実に、何とも言えない気分になった。(足立智和)

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