アメリカでのBSE発生により、米国産牛肉の輸入がストップし、牛丼チェーン店から牛丼が消えるというニュースが世の中をにぎわした。なぜ、あんなに牛丼に愛を注ぐかのような報道が大々的になされたのか、全く不思議だ。 翻って、鳥インフルエンザ。「食の安全性」に注意を払う消費行動により、鶏肉や卵の売上げが、関西では大きく落ち込んでいる。一方で「完全に安全なのかどうかは分からない」米国産牛肉で作った牛丼に列をなす消費者がいる。 「売れない」以前に、安全なのに「売りにいけない」「荷受けできない」篠山市、春日町、市島町の養鶏関係者の苦悩は深刻だ。しかも、鶏肉、卵は国内自給率が高く、家計を直撃しにくいためか、「被害者」にそれほど注目や関心が集まっていないように感じる。 そんな中、春日町の有志が、養鶏関係者を支援するために、募金を募っている。「食の安全性の確立は、地域の協力なくして成り立たない」、と呼びかけ人代表の婦木克則さんは訴える。自分を含め、消費者は移り気だが、今回の出来事を、場当たり的な「食の安全性」でなく、本当の「食の安全性」を考える機会にしなければと思う。(足立智和)