氷上町石生のアパートで4月からスタートする「グループホーム」。まだあまりなじみがないが、数人の知的障害者が地域の中の住宅で共同生活をする形態だ。山南町の「三美学苑」などに籍を置く50歳代の女性6人が入居する予定という。 長年施設で暮らしてきた人たちが、今さら新しい環境での生活を望んでいるのだろうかと思ったが、三美学苑の婦木治施設長は「いったん地域に出た人はみんな『もう施設には戻らない』と言われます」と笑う。「施設は集団生活なので、いろいろな規則や縛りがある。厳しいことや辛いことがあっても、それ以上に自由がある生活が楽しいのでしょう」という。 婦木施設長は「知らないが故の偏見もありますが、知的障害者も普通の人たち。対応がまずいことがあっても、それはどうしていいか判断がつかなかったり、対人関係に慣れていないため。少し大きな気持ちで接してもらえたらそれで十分」と続けた。 20年以上も施設という特殊な環境で暮らしてきた人たちが、訓練を経て、地域での生活にチャレンジしようとしている。出会ったら笑顔であいさつをするようにしたい。(徳舛 純)