9月の障害者雇用促進月間にちなみ、篠山市内の障害者雇用の状況を調べた。関係各所で話をうかがったのだが、やはり今の経済状況で厳しい状態にあるようだ。それでも、それぞれ工夫を凝らして前向きに取り組んでいる様子を見て、こちらが元気付けられる思いがした。 その中でわかったのは、ただ単に障害者が職を持てばいい、というわけではないこと。収入を得て生活を安定させるのは当然だが、労働に対する対価を得、社会とのかかわりを持つことが生きがいにつながるという。ある人は、事業所で働き出してから以前より明るくなり、家庭での会話も増えたという話も聞いた。 いくら手厚い福祉施策が整えられていても、それが単なる同情からでは、一人の人間として認められているとは言いがたい。 「人に優しいまちづくり」が言われて久しい。障害者やお年寄り、小さな子どもなど、誰もが安全で不便なく暮らせる街。確かにそうなれば素晴らしいが、法や設備がいくら整っても、それを活かすも殺すもわれわれ次第。「人が優しいまち」をつくらないといけないことも、取材を通じて教えられた。(坂本守啓)