障害者が運営する「みんなの家」店長 五十川英治(いそがわ・えいじ)さん

2007.04.24
たんばのひと

 NPOいぬいふくし村が篠山市魚屋町の商店街空き店舗にオープンした 「みんなの家」 店長。 近隣地域の障害者事業所で作られた商品を展示販売しているほか、 寿司・総菜の販売コーナーや、 交流スペースなどがある店舗で、 障害者が働く店舗としては珍しい、 年中無休での運営に挑戦している。 ろうあ者。

    
  「店長になってくれと言われたときは責任が重いので尻込みしたのですが、 障害者のことを理解してもらうきっかけになればと、 引き受けました。 常勤の店員はろうあ者2人と、 手話のできる健常者2人で、 ペアで店番をしています。 まだ分からないことが多いですが、 誰でも気軽に来てもらえる場所になるようがんばっていきたい。 売り上げも目標の1日5万円に近づけるよう努力するつもりです」
  「一般の人は、 まだまだ障害者との関わりが薄いと感じます。 例えば私の場合は、 ドアを閉めるような大きな音は聞こえますが、 普通のスピードの会話を聞き取るのは無理。 後方から話しかけられても分かりません。 初対面の人とコミュニケーションをとるのは難しいので、 相手の顔や様子を見ながら対応しています。 実際にふれあって、 まず、 まちに障害者がいるということを分かってもらいたい」
  「聴覚障害者にとって一番困るのは情報が少ないことです。 特に災害時は不安です。 数年前の水道水へのフェノール混入事故の時もすぐには分からず、 近所の人が来て教えてくれたのですが、 すでに水道水を飲んだ後でした。 昨年、 消防署の緊急情報システムが整備され、 災害情報が携帯メールで届くようになったのはとても助かります。 また数年前から病院などへ行くときは手話通訳の派遣ができるようになりましたが、 まだボランティアの数が少ないです」

    
 生後9カ月の時、 高熱が原因で難聴になった。 小、 中、 高校と神戸聾学校で学び、 印刷の専攻科を卒業後、 印刷会社に就職。 2社で計33年勤めた。 言語習得前の障害で口語会話ができるのは、 厳しい訓練をされたからだろう。 シャイな人柄だがユーモアたっぷり。 篠山市南新町。 57歳。  (徳舛 純)

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