県医療計画案 圏域「阪神北」と統合

2008.02.25
丹波の地域医療特集

 県が、 パブリックコメントを募っている 「県保健医療計画」 (案) で、 丹波の脳卒中と急性心筋こうそくの治療における医療圏が、 「阪神北・丹波」 と設定されていることが分かった。 伊丹市、 宝塚市、 川西市、 三田市、 猪名川町の阪神北医療圏に、 丹波の2市が加わる形。 県立柏原病院の脳神経外科と循環器内科の診療縮小により、 脳卒中患者の大部分、 急性心筋こうそく患者の多くを丹波医療圏外に依存している現状を追認する計画。 同計画案で医療圏統合案が示されたのは、 丹波圏域の2疾病のみ。 (足立智和)

 丹波地域の人口10万人に対する死因別死亡率 (2006年) は、 脳血管疾患が151・6、 心疾患が192・7と全県の89・2、 126・4を大幅に上回っている。
 同計画 (計画期間08年から12年) は、 これまでの2次医療圏 (丹波市、 篠山市を丹波医療圏とする考え方、 県内で10圏域) でほとんどの医療完結をめざすという形から、 従来の医療圏を越え、 4つの疾病 (がん、 脳卒中、 心筋こうそく、 糖尿病) と5つの医療 (救急、 災害、 へき地、 周産期、 救急を含む小児) について、 それぞれの治療圏を定めるとする国の医療法の改正を受け、 今年度見直されている。
 県健康生活部健康福祉政策課によると、 昨年9月に県内の医療機関の機能調査を実施したところ、 丹波圏域には脳卒中と急性心筋こうそくの治療を、 国が求める水準で担える病院がなく、 さらに、 空白地帯は作らないという考え方から、 「阪神北・丹波圏域は医療機能の現状から当面一つの圏域とするが、 丹波地域において一定の機能を確保する方向で調整を進める」 と注釈をつけ、 阪神と丹波を1つにまとめたという。 また、 北播や京都府との連携も必要とした。 がんと糖尿病、 5つの医療については、 従来どおり丹波を1つの圏域とした。
 同課は、 「治療圏はあくまで1つの目安。 丹波では、 失われた医療機能が多く、 こういう計画になった。 状況は刻々と変わるので、改善されれば見直すなど、 弾力的に運用する」 としている。
 県立病院を運営する県病院局の管理課は、 「柏原病院の機能を戻し、 丹波医療圏で治療ができるようにしたいのが病院局のスタンスで、 計画案が、 あるべき姿とは思っていない。 課題は医師の確保に尽き、 現場の意向を踏まえ、 今以上に金と知恵を出すシステムを構築したい」 と話している。
 同計画案の全文は、 県ホームページ (http://web.pref.hyogo.jp/life/cate3_116.html) で閲覧できるほか、 取り寄せることもできる (有料)。 パブリックコメントの提出先は、 県健康生活部生活企画局健康福祉政策課計画係 (〒650―8567 神戸市中央区下山手通5―10―1、 電078・362・3135、 FAX078・362・4261、 電子メール ks_kenkou@pref.hyogo.jp)。 3月11日必着。

 県保健医療計画 (案) に盛り込まれる丹波圏域固有の問題について、 丹波の行政、 医療関係者が審議して県に提出した 「圏域の重点的な取り組み」 に、 「医師招へい」 が抜け落ちている。 丹波圏域の重点的な取り組みは、 救急医療、 小児医療、 周産期医療の3つ。
 丹波同様に医師不足が深刻な但馬圏域では、 重点的な取り組みの1番目に 「医師確保」 をあげ、 「医師の減少は続いており、 但馬圏域では、 医師の確保が喫緊の課題となっている」 と記載。 ▽市町、 医師会、 病院が協力し、 大学医学部へ派遣要請する▽病院が資質向上ができる体制を整備する▽女性医師が就労できる環境を整備する▽大学医学生、 臨床研修医等を対象に情報交換、 交流会を実施し、 但馬の地域医療への勧誘及び定着をはかる―などと、 対応策を盛り込んでいる。
 県柏原健康福祉事務所の案に基づき、 丹波、 篠山両市長、 両市医師会長、 7病院の院長らが名を連ねる丹波圏域健康福祉推進協議会医療部会で審議した。 保健医療計画全般について圏域の意見を述べる同会議では、 「阪神北・丹波」 とされた脳卒中と急性心筋こうそくの治療圏を丹波圏域内で治療できるようにすることを求める意見は出たものの、 重点的な取り組みに関する意見は特に出なかったという。

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