和洋の溶け合った味
(まえかわ ともひろ)浜松市在住
1975年 (昭和50年) 丹波市柏原町生まれ。 氷上高、 辻学園日本調理技術専門学校卒。 95年志摩観光ホテルに入社。 2003年に退職。 今年6月から現職。
志摩観光ホテル (三重県) での修業を経て、 静岡県浜松市内有数のレストランの料理長に。 創業140年の割烹老舗 「鳥善」 が営む結婚式場併営のレストランで、 従業員約60人。 調理場では13人のスタッフを抱える。 従来の純和食から、 和食とフランス料理を融合した 「モダン・ジャパニーズ」 への衣替えに当たって、 社長からスカウトされた。
「和洋の折衷ではなく、 1つの皿の上で溶け合っている。 見た目は和だが洋の味がするという感覚」。 さらに、 「野菜を美味しく召し上がっていただくため、 従来にない味付け、 センスのものを工夫しています」。
難関をくぐって就職した志摩観光ホテルのレストラン「ラ・メール」 は非常に厳しい職場だったが、 昭和天皇をもてなす栄にも。 師の高橋忠之総料理長が定年退職したことなどもあって、「自分なりに新しい料理にトライしたい」 と考えて転進した。
現在の調理場は、 設備を全面更新。 それまでいた職人も少なからずやめていった。 ほとんどが年上の残ったスタッフに自分の持ち味を浸透させることや新人補充の仕事も含め、 3カ月ほど休日なしの奮闘。 その甲斐あって、 新しい客も増えつつあるという。
料理の道へは、 「大阪でコックをしていた叔父の白衣、 高い帽子が格好良く、 中学生の頃から憧れていた」。 氷上高校の食品加工科で味噌や醤油を作り、 一層面白さを覚えた。 「料理をしていれば、 ストレスは感じない。 家でも休日にはカレーなどを作ります。 4歳の息子が真似をして包丁を持ったりするのは、 やはりDNAでしょうか」 と笑った。
丹波の食材は、 「子供の頃は何気なく食べていたが、 今思えばすばらしいものがそろっている。 自分の料理にも是非取り入れたい」。 (外野英吉)