山南町上滝の白亜紀前期 (1億4500万年―9960万年前) の地層、 「篠山層群下部層」 (1億4000万年―1億2000万年前) からカエル類の化石が密集して見つかった。 県立人と自然の博物館 (三田市) が昨年12月から今年3月まで行っていた 「丹波竜化石第3次発掘調査」 などで発見されたもので、 同博物館の池田忠広研究員は、 「丹波竜の足もとにいたカエルかもしれない」 と太古に思いをはせつつ、 「こんなにまとまった状態で見つかったものは国内では例がない。 保存状態も良く、 世界的に貴重な発見」 と話している。
見つかったのはいずれも数ミリで、 腕の部分に当たる上腕骨や橈尺 (とうしゃっ) 骨、 指骨などのほか、 脚の脛腓 (けいひ) 骨、 踵 (しゅ) 骨、 距 (きょ) 骨など。 骨の大きさなどから、 全長は約35ミリと推測される。
密集した骨の塊2つ (2×2センチ、1×1センチ)のほか、 ばらばらのものも含めると、 50点以上。 塊のうち1つは、 第3次発掘後に上久下地域づくりセンター (山南町下滝) で行われた発掘体験に参加した三田市の児童が発見。 もう1つは、 同博物館のクリーニング作業中に見つかった。
カエル以外の生物では2本で1対になっている橈尺骨や脛腓骨などが1本だけで、 ジャンプするために特化した形態になっていることなど、 カエル類にのみ見られる特徴が確認できる。
今回発見された化石は、 少なくとも2個体分以上。 塊のひとつは全身の3分の1、 もうひとつは全身の5分の1ほどが密集していた。 今後、 骨の形状を詳細に分析し、 種類の特定を行う。
篠山層群下部層と同年代のものは、 国内では岐阜県や石川県で発見されているが、 いずれも1、 2点のみ。 この2例も含め、 世界で19例しか見つかっていない上、 断片的なものが多いため、 丹波市産の化石は、 全身骨格を解明する上でも世界的に貴重な標本といえる。
池田研究員は、 「篠山層群には多様な生物がいて、 今後も多くの発見が期待できる」 と意気込む。 また、 発掘体験などから見つかったことに対しては、 「地道な作業だけど、 誰にでもキラリと光る発見ができる」 と言い、 「発掘調査以後の仕事も大切と、 あらためて感じさせられた」 と話している。
1日に丹波の森公苑で行われた 「第4回丹波恐竜化石発掘等連絡調整協議会」 で明らかにした。