内閣法制局参事官  河津邦彦さん

2009.12.24
たんばのひと

尊敬される国めざし
(かわづ・くにひこ)東京都在住

 外務省から出向して、 日本と外国が締結する新規の条約を審査する仕事に携わっている。 FTA (自由貿易協定) などの審査に関わってきた。
 仕事を通じ、 国際的視野で日本を顧みて、 少子化に危機感を抱いている。 「人口が減少したまま長期の繁栄を維持した国は思いつかない」 と、 日本が外国人へ門戸を開く移民政策を真剣に議論する必要性を説く。 「内向きのまま後退していくのか、 それとも英、 独、 仏のような発言力を保てるのか、 日本は今岐路に立っているのではないでしょうか」。
 最近の、 目前の生活ばかりが重視される風潮は、 日本の将来を危うくするのではないかと危惧を感じている。
 国民の判断材料となる情報公開と報道の公正さに期待する。 自らの体験から、 判断に絶対的基準はないし、 体験しないことを軽々に決めつけてはならないと痛感しているから。 「ドイツに住んだ時、 日独の違いに驚きました。 その後、 インドと関わるようになって、 衝撃はさらに大きくなりました」。 前者の違いが100メートルとすれば、 後者は何キロにも及ぶと思えた。 「かみ合った議論をするには、 その国の歴史や文化的背景をよく知らなければならない」。
 8月15日生まれ。 「日本のために貢献するように」 と、 「邦彦」 と命名された。 その思いを胸に秘めて外務官僚としての第一歩を踏み出した頃は 「世界第二位の経済大国」、 「ODA (援助額) 世界第一位」 を誰もが疑わず、 日本はバブルの絶頂期だった。 だが最近は、 「ジュネーブでは、 日本が発言するだけで注目される状況になく、 とても危機感をもって日々過ごしていました。 今後も日本が国際社会で尊敬を集めるような国であり続けてほしいですね」。 (上 高子)

 1967年 (昭和42年) 篠山市生まれ。 篠山鳳鳴高校、 東京大経済学部卒。 ドイツ留学、 ベルリン総領事館などを経て、 本省アジア局などに勤務。 2004年から在ジュネーブ日本政府代表部でWTO担当。 帰国後現職。

関連記事