神港学園高校硬式野球部部長 後藤誠さん

2010.03.11
たんばのひと

選抜で感動の試合を
(ごとう・まこと)明石市在住

 1954年 (昭和29) 丹波市山南町井原生まれ。 73年篠山鳳鳴高校卒。 宮城教育大卒業後、 77年から私立神港学園高校数学科教諭。 2008年から教務部長兼硬式野球部長。

 21日に甲子園で開幕の選抜高校野球大会に出場する神港学園高校 (神戸市中央区) の硬式野球部長(責任教師)。選手、 監督とともにベンチ入りする。 夏の選手権大会に3回、 春は5回目の伝統校。 「選手の好プレーで、 感動を与えられる試合ができるよう、 サポートしたい」と話し、技術指導を担う監督に対し、 縁の下の力持ちに徹する。
 大会が近付くにつれ、 マスコミの取材、 保護者会の対応など忙しい日々が続くが、 「野球経験がないのに、 こんな機会を与えていただいて幸せ」 と明るい表情。 「今年のチームは、 優しい選手が多い。 試合の時、 打てなかった選手に、 『次の打席がある、 頑張れ』 と声をかける。 思いやりがありますよ」。
 そんな野球部員の伝統的な精神になり、 先輩から後輩に引き継がれているのが、 ボランティア活動。 阪神・淡路大震災の起きた15年前、 選抜出場が確実視されながら、 市民が悲しみに打ちひしがれる中で、 大会のことを思う余裕もなかった。 「今、 自分たちが何ができるかを、 選手や指導者が一緒に考え、 避難所での救援物資の配布、 学校周辺の瓦礫の片付けに多くの市民らとともに汗を流した。 そうした活動から得た、 『感謝』 と 『思いやり』 がチームの柱になった」。 震災直後の大会では、 被災地を励ます声に後押しされ、 ベスト8に進出。 「今年の1・17の震災記念日にもろうそくをともす竹筒を運び、 並べる活動、 豪雨災害地などでの支援に選手とともに参加した」。
 山に囲まれたグラウンド周辺の草刈りは大切な仕事。 「田舎育ちのせいか苦にならない」 と苦笑。 「田舎では母が独りで暮らす。 父が亡くなった時や日ごろから地域の人に大変お世話になり、 古里の人たちの温かさを肌で感じている。 感謝の気持ちを忘れないように暮らしたい」。 (臼井 学)

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