アジア各国で日本語を学ぶ大学生を支援するNPO「アジアの新しい風」(上高子事務局長=丹波市出身)主催の、日本書読後感想文コンテストの表彰式に、北京の清華大学を5年ぶりに訪問。▼同大日本語学科2年生を対象にしたコンテストは、小説「とんび」(重松清著)、随筆「東京坊ちゃん」(林望著)から1冊を選んで感想を書いてもらった。いずれも戦後間もない頃が舞台の作品で、かなりのボリュームがある。▼筆者も審査員を務めたが、「初歩から2年足らずで、こんなに書けるものか」と舌を巻くほど。皆よく読み込んで、豊かになった自分たちの暮らし、また一昔前のつましくも温かだった家族や身の回りの思い出などについて、作品と重ね合わせて書いていた。▼NPOから同大に派遣している日本人教師の授業を見学した。この日は2人の学生が香川県と鹿児島県について調べたことを発表。豊島(てしま)の産業廃棄物投棄問題の中国の環境対策への教訓、また、なぜ薩摩藩の下級武士が明治維新の中核になり得たか、など我々でも説明がおぼつかないような質疑が交わされた。▼無論、使うのは日本語だけ。同科に限らずほぼ全学生が校内の寮から通学し、授業は夜9時までの日もあるという。「日本の大学生、うかうかするなよ」と心底、思わざるを得なかった。(E)