本紙5面の「自由の声」欄で、ごみの散乱を嘆く投稿が載っている。それによると、投げ捨てて割ったと見られるビンのワンカップが多数、散乱していたという。捨てた主は、どんな心境だったのか。ワンカップを投げつけてストレスを発散しようとしたのかもしれない。それほど現代は、「いらいら」感が高まっているから。▼一昨年度の「日本人の国民性調査」によると、「ここ1カ月の間に『いらいら』にかかったことがあるか」の問いに、48%が「ある」と回答した。1953年から5年ごとに行われている調査で、この数値は過去最高だった。▼いらいらする人が増えている。人々にストレスを負わせる現代社会の構造も理由の一つだろうが、個人にも問題があるように思う。多少のことならストレスに思わない。そんな「我慢する力」が弱っているから、いらいら感が高まっているのではないか。▼教育者の東井義雄氏が「怒りや憎しみの炎も、火事の火に負けんくらい恐ろしい。相手も自分も共に焼き滅ぼしてしまうからだ。この恐ろしい炎を消す水。それが我慢だ」と書いている。▼いらいらを消す水も我慢だ。しかし、それを消さずにおくと、怒りや憎しみの炎が自分を越えて広がるように、いらいらも広がり、いらいらに満ちた社会になってしまう。(Y)