2世、3世でない菅首相が就任した時、筆者も含め庶民は皆、何がしかの期待を抱いたが、3カ月でこの始末である。就任の会見で、同郷の高杉晋作を引き合いに「奇兵隊内閣と呼んでほしい」と得意気に話した辺りから、その軽さが気にかかってはいた。▼一方の小沢氏。「実行力あるリーダー」への期待はあれ、何と言っても検察審査の当事者。世論の支持率は圧倒的に低いにもかかわらず、小沢コールが鳴り止まなかったという大阪での演説会の報道を見ていると、「ほんにこの人は選挙上手」と思い知らされる。▼しかしながら、「何かやってくれそう」な中身を点検すると、鳩山さんがやろうとして挫折したこととさほど変わらないし、いかに愛想をふりまこうと、それを昔の自民党の手法で、かつもっと集権的に進めようとする気配はぬぐえない。▼こういう時こそ、「野党第一党」が存在感を示すべきはずだが、それがまた、全く伝わってこない。それどころか、「代表選後は大連立も」というような声さえ上がってくるようでは、焦りと閉塞感を募らせるのは、筆者だけではあるまい。一刻も猶予が許されないこの状況の中で。▼150年前の国家存亡の危機には、晋作も竜馬も松陰も命を捨てて働いた。そうした志は、今やドラマの中でしか望めないのか。(E)