自由民権運動家の法貴発、平凡社の創業者で教育者でもあった下中弥三郎、徒然草や万葉集研究の第一人者で知られる佐野保太郎など、篠山市出身の人物をパネルや著書などを通して紹介する企画展が篠山市立中央図書館で11月7日まで開かれている。▼篠山が輩出した傑人たちを再認識するこの企画展。とりわけ思春期にある中高生たちにとって、ふるさとの傑人にふれる入り口になることを願う。▼思春期相談などに当たっている揖保川病院副院長の中井祥博氏が先ごろ篠山で講演し、「思春期は、自分崩しと自分づくりの時期」と話した。自分とはどういう人間なのかを見いだそうと、自分を崩し、自分をつくっていく行為を繰り返す。▼どう生きればいいのか、生き方のモデルを求めるのも思春期の特徴だ。映画やテレビに出てくる主人公に自分を投影するのはモデル探しの一つであり、伝記を読むのもその一つという。この点で、企画展はモデル探しの入り口になりえるし、名前と業績を知るだけではなく、さらに深く入って生きざまを学んでほしい。▼同じふるさとに育った傑人がどのように生き、何を考え、何に苦悩したのかなどを知ることは、思春期にある子どもの自己形成にとって有効だろう。大人だけでなく、子どもにも見てもらいたい企画展である。(Y)