JA丹波ささやま農協 相次ぐ横領発覚

2010.12.09
ニュース

 JA丹波ささやまの男性職員による横領が発覚し、 組合員の間で 「またか」 という声が広がっている。 2008年には、 女性契約職員が組合員の預金計350万円を、 今年5月には、 男性職員が組合員の口座から約411万円を着服した。 同JAでは、 年に1回、 不正防止の全体研修会を開いたり、 部署内で不正の点検をしていたが、 それが機能しなかった。 原因や課題を探った。

「まさか」の出来事
 同JAは5月の事案を受けて、 内部調査チームを結成し、 調査を開始。 まず組合員から渉外係が現金で預かっている約4000件について、 残高を照会するため案内を出した。 同JA幹部は 「ほかに (着服事案は) ない。 あくまで残高を確認するために案内を出した」 と言い、 事案の発覚に 「まさか」 と思ったという。

管理職の責任
 今回の事案は、 顧客の定期積金 (つみきん) に入れるはずの金を職員が着服した。 同農協にかつて勤めていた職員は、 「顧客から定期積金のお金を預かってきた渉外係が、 その日ではなく、 後日入金していることはよくあった」 という。
 同JA幹部は、 「積金の入金が遅れると、 管理職が確認することになっているが、 それを怠っていた」 と、 管理責任のまずさを指摘。 70歳代男性の組合員は 「大勢いる職員の中には、 いろんな人間がいて当たり前。 それらをしっかりと束ねるのが、 上層部や理事たちの役目だ」 と憤る。

組織自体の問題
 元職員は、 「度重なる不祥事は、 『自己責任』 といえばそれまでだが、 横領が多発する根本的な原因はずさんな管理体制にあると思う」 と話す。 また、 別の元職員は 「お金の管理がずさん。 支店から本店にお金を届ける際に伝票を切らなかったり、 大金を机の上に置いて、 職員を1人にすることもあった。 横領しようと思えばいつでもできるような環境があった」 という。
 60歳代の男性組合員は、 「不祥事のたびに穏便に済ませ、 しっかりとした責任をとってこなかったから、 このような事態になったのでは」 と組織の改革を求める。

隠ぺいはない
 今回の事案は、 報道機関によって明らかになり、 公表されることになった。 「不祥事が相次いだことで 『またか』 と思われるのを嫌っているためか、 うちうちで終わらせることが多い。 いずれ発覚することだし、 すぐに公表すればいいのに」 と元職員は指摘する。
 同JAでは、 4000件について、 亡くなったり、 転居したりした顧客がいることから、 管理職が確認作業を続けている。 「調査が終了するのにあと数カ月はかかる。 その段階で公表し、 組合員におわびしようと思っていた」 と言い、 隠ぺいを否定した。

再発防止は続く
 5月から調査チームを発足後、 7月にはJAバンク兵庫から事務手続きの専門家1人の出向を受け、 調査専門の職員を3人にし、 不祥事再発防止の専門チームを強化。 ほかに不正がないか、 事務処理が合っているかなどを調査し、 必要があれば指導もしている。 専門チームの期限は、 「組合員の信頼を得るまで」 としている。

   ◇   ◇

 1万人を超える組合員数。 314人の職員数。 産直店や学童保育など市民との接点も多く、 市との共催イベントも多い。 「 『農協です』 と言えば、 ほとんどの人は信用してくれる。 その信用を悪用している」 (元職員) という今回の事案。 信用回復には、 組合員や市民視点の経営や透明性が求められる。

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