丹波市は新年度、 地上デジタル放送への対策ができていない高齢者 (65歳以上) 宅を訪問し、 その必要性を説明する事業と、 介護予防などにつなげるために高齢者 (80歳以上) 宅を訪問し、 実態調査を行う。 いずれも民間事業者に委託する予定。 国の地域活性化交付金を活用するもので、 同交付金を含む一般会計補正予算案が19日の市会臨時会で可決されたが、 一部議員から、 事業そのものは評価するものの、 対象となる高齢者の情報を民間に預けることに異論が噴出し、 市当局との議論は平行線をたどった。 事業執行と個人情報保護の狭間で、 市も対応に苦慮している。
市が管理する個人情報のベースとなるのが住民基本台帳。 そこに記される個人情報のうち、 氏名、 住所、 生年月日、 性別の4項目については、 公共性が高い目的に使用されると判断された場合に閲覧できる。 コピーは一切できない。 阪神地区の市担当者が集まる勉強会で、 同台帳の取り扱いなどを研究、 情報交換するなかで、 丹波市としての要綱を定めている。
しかし、 今回の2つの事業に関して、 訪問する対象となる高齢者の情報を市が民間事業者に提供することを明らかにしたため、 一部議員が反発した。 「自治会長や民生委員には提供できないのに、 なぜ民間事業者には提供するのか」。
自治会が敬老事業を主催する際に対象者に案内を出したり、 防災対策で高齢者宅を把握したり、 民生委員が社会的弱者を把握する際にも市から情報提供はなく、 同台帳を閲覧するしかない。 一方でこれらは、 市や国が推進する事業でもあるため、 情報提供に配慮を求める声は少なくないという。