建築資材の調達困難 丹波地域

2011.04.07
ニュース

 3月11日に発生した東日本大震災の影響が丹波地域の建設工事にも影響を及ぼしている。 東北地方の建築資材メーカーが多く被災したことに加え、 復興のために資材が押さえられているためだ。 施設の竣工が延期された例やリフォーム工事完了の目途が立っていない住宅などもあり、 建設業者は直撃を受けているが、 「震災なので何も言えない。 早く事態が収まることを祈るしかない」 と言いようのない悲鳴を上げる。

■いつ復興しますか

 篠山市内の工務店によると震災直後から、 床や壁などの下地となる 「構造用合板」 をはじめ、 床材などの建築材料のほか、 ユニットバスやキッチンなどの住宅設備の流通が滞り、 入荷が困難になった。 進めていたリフォームや予定されていた工事が白紙になった例もあり、 今後の目途はたっていないという。

 資材の多くは東北に工場があった。 工場が操業を停止し、 在庫も燃料不足で運送できない状況。 東北の業者に入荷予定を尋ねたところ、 「東北はいつ復興しますか」 と逆に聞き返された。 「わからない」 と答えると、 「だから、 入荷時期もわかりません」 と言われたという。

■耐震工事に影響

 新年度から3年かけてすべての建物の耐震工事に入る篠山鳳鳴高校は、 グラウンドに仮校舎を建設しているが、 竣工予定の3月30日を過ぎても工事が完了していない。

 2階建て25教室で、 2月中旬に着工した仮校舎は、 現在ほぼ完成しているものの、 震災後、 配線や内装材が不足したため、 工事に遅れが出た。

 春休み中に本校舎の資材の引っ越し作業を行う予定だったが、 竣工予定は始業後の4月10日。 引っ越し作業は16、 17日に変更された。

 同校は、 「始業と同時に仮校舎でスタートするつもりだったので残念。 生徒も落ち着けないので戸惑うかもしれない。 こんなときなので、 どうしようもないが」 と話す。

■特需の恩恵は

 一方、 多くの住宅が震災で被害を受けたため、 住宅特需が見込まれている。 しかし、 市内の建築関係者は、 「丹波地域まで恩恵が届くかどうかは疑わしいだろう」 とみる。

 関係者によると、 阪神・淡路大震災の折も特需が生まれたが、 大手ハウスメーカーが多くの復興住宅を手がけたため、 地域の工務店などにはそれほど恩恵はなかったという。

  「人手が足りないことが予想されるため、 一時的な需要は見込めるものの被災地は遠い。 経費を考えれば、 出向くほうがマイナスになる」 と話す。

 不況の影響を受け、 ただでさえ冷え込む建設業界。 丹波地域では震災が二重の悪影響を及ぼす可能性も大きく、 別の業者は 「何か対策を考えなければならないが、 何をしていいのか」 と肩を落とす。 遠く離れた丹波にも、 震災は累を及ぼしている。

 

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