「角力」「相撲」は、俳人の宇多喜代子さんによると秋の季語(3月1日号神戸新聞)。奈良時代に「神占」として始まり、平安時代まであった7月(陰暦では初秋)の「相撲の節会」に由来するという。▼「国技や神事を守る」建前と実態とのバランスが、今回の八百長問題で崩れてしまった大相撲。宇多さんは「負くまじき角力を寝ものがたり哉」という蕪村の句などを引用して「相撲よ、究極のアナクロニズム(時代錯誤)として歳時記に居座れ」と述べ、また力士のピンクの肌の印象をもとに、「永遠に桃色であれ」と書いている。▼斜めからのエールと見受けたが、春秋子も「相撲はピンク」という見方には全く同感である。白い肌がピシャっとたたかれ、引き締まった筋肉が真っ赤に染め上がる様は、勝負以前の高揚感を覚えさせる。▼5月場所が「技量審査場所」とか、もうひとつよくわからない無料興行に切り替わるそうだが、それならば被災地に巡業に行った方が、よほど意義があるのではないか。白鵬が「出来れば自分も行きたい」とテレビで話していた。東北出身の力士も多い。▼ちゃんこの炊き出しをし、皆で力仕事も手伝えば、きっと名誉挽回になろう。「5月場所後に慰問。取り組みはしない」との報道もあるが、しかしやはり、「相撲はピンク」だ。(E)