丹波市春日町の棚原自治会が作った冊子「古文書から分かった江戸時代の村のすがた」が面白い。5年前から神戸大大学院の指導で村に伝わる古文書を整理しながら「読む会」を作って勉強してきた成果。▼「村外から嫁入りの時に、石を投げる風習は行儀が悪いのでやめなさい」「農作業の余った時間に読書や算術はしていいが、遊芸は堅く禁じる。先生を滞在させるのも駄目」といった村の規約。▼「近頃、近隣の他領地が鹿や猪の侵入を強力に防ぐので、当村へ逃げ込んでくる。許可されている火縄銃1丁では足りず、追加して下げ渡してほしい」との上申書。また「酒乱にて法外の口論を仕掛けた」某が、五人組の中での役を取り上げられ、「飲酒指し止め。そむいたら即刻縄縛り」との裁判言い渡し。▼難しい漢字ばかりで書かれた古文書から、がんじがらめの封建制度の下でも、したたかに、結構楽しく暮らしていたらしい庶民の様子が浮かび上がってくる。同自治会は以前にも冊子を出しているが、今回は大正時代初期に、当時の上田捨蔵・国領村長がたくさんの文書の中から重要と思われるものを選別して2つの巻物に残したものが中心。▼村の歴史を将来に渡って伝えることで、コミュニティを維持発展させたいという捨蔵翁の遺志に、十分に応えた後世に喝采。(E)