ナラ枯れ起こす害虫「カシナガ」 くん煙殺虫「効果あり」

2011.07.27
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 木材のバイオマスエネルギー活用を研究する 「JTトライアングル」 (丹波市柏原町柏原) などが春日町野上野で行った、 ナラ枯れ材を燻 (くん) 煙処理し、 原因害虫・カシナガの成虫と卵を殺す試験の中間結果がこのほどまとまった。 燻煙処理をしなかった材では7月にカシナガの成虫の発生が確認されたのに対し、 燻煙処理した材では確認されなかった。 同社は、 「くん煙で殺虫できる」 と手ごたえを感じており、 今後、 殺虫温度と所要時間の短縮方法を検討する。

 5本の被害木を切断し、 それぞれの木について燻煙処理をする部分と、 しない部分に分けて比較。 くん煙処理した部分は、 いずれも成虫の発生はなかったが、 未処理の部材からは成虫が確認された。

 焚き口を取り付け、 内側に石こうボードをはった改造コンテナに、 直径15―48センチ、 長さ50センチの被害木を入れ、 コンテナを 「炉」 にして、 中で被害木をいぶした。 虫が死ぬ温度を探るため、 加熱時間を何パターンか試した。 実験中最短の90分で加熱を中止したケースでも、 成虫の発生は見られなかった。 この時、 加熱を止めてから2時間半後に材の温度が44・3度 (材の深さ75ミリ地点) に達した。 少なくとも2時間以上、 ドングリの害虫を殺す目安の42度以上の熱ストレスがかかったとみられる。

 9月まで、 熱処理した木からの発生がないか、 継続調査する。

 同社の三輪邦興さん (61) =氷上町下新庄=は、 「虫を拡散させないため、 これまで被害木を数カ月―1年以上動かせなかったが、 数時間の処理で殺虫ができれば、 材の移動が容易になる。 チップなどに加工ができ、 バイオマス利用につながる」 と話している。

 また、 「もっと材の温度が低い、 つまり、 加熱時間が短くても殺虫できるのかどうかを確かめたいが、 素人では限界がある。 県の森林林業技術センターで確認試験を実施してもらえれば」 と専門家の関心喚起に期待を寄せている。 コンテナは、 製造原価が30万円近くかかっており、 コストダウンも検討課題という。

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