山南の兵庫パルプ 県内最大規模のバイオマス発電

2011.07.08
ニュース

 関西電力が7月から15%節電を求めているなか、 大規模な発電を行っている企業が丹波市内にある。 パルプメーカー、 兵庫パルプ工業 (丹波市山南町谷川、 横谷逸男工場長) は、 木材資源を燃料とするバイオマス発電設備を2基稼動させ、 自社工場の電力を全てまかなっているほか、 売電もしている。 バイオマス発電では県内最大規模で、 売電量も丹波市内の一般家庭の全戸消費量を上回っている。

 バイオマスボイラー(3号・4号) でタービンを回して発電している。 「3号」 は、 パルプ製造過程で出た廃液を燃料とした発電ボイラーで、 発電量は3万8700キロワット。 「4号」 は、 建築廃材の木屑などを燃料とする発電専用ボイラーで、 発電量は1万8000キロワット (いずれも最大時)。

 3号ボイラーでつくられた電気は、 市内で突出して使用量が多いという同工場内の電力を100%まかなったうえで、 余った電力を売電に回している。 4号ボイラーでつくった電気は全て売電している。

 同社によると、 4号ボイラー分だけでみても、 売電量は一般家庭約36000戸分の消費電力量にあたり、 市内全ての家庭で消費される以上の電力を供給している計算になるという。

 1991年に3号ボイラーを稼働し、 バイオマス発電事業を本格化しようと、 2004年に4号ボイラーを稼働した。

 03年に 「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」 が施行。 地球温暖化対策に貢献する 「新エネルギー」 として認められているバイオマスエネルギーは、 化石燃料で発電した電気よりも、 価値の高い電気として買い取られる。 また、 設備建設への国補助金もある。

 こうした追い風を受け、 同社における発電事業は、 価格変動の激しいパルプ事業を補う新たな収益の柱として成長した。 ただ、 4号ボイラーについては、 燃料の木屑チップが値上がりしたことや、 設備維持費が高くついていることなどから、 収益はあまり上がっていないという。

 横谷工場長は 「バイオマス発電は、 二酸化炭素を発生させないとみなされる。 地球にやさしい自然エネルギーを供給できていることは、 環境面でよかった」 と話している。

 また、 政府が検討中の再生エネルギー電力の全量買い取り制度との関係については 「4号ボイラーの燃料としている木屑が手に入りにくくなる可能性があると思う」 とやや懸念を示した。

 

関連記事