丹波布を織る伝習生や一般の人が家庭で手軽に扱える機織り機の製作を手がけている 「織り機を楽しむ会」 (井下渉代表) が、 県産材を使い試作品の模型を製作した。 地場産業の木工技術を活用し、 丹波材など県産材の有効利用を図るのが目的で、 丹波市の市地域資源活用促進事業補助金 「ヒノキ製の丹波布に適した機織機の試作開発事業」 の採択も受けている。
模型は、 高さ1・7メートル×縦1・3メートル×横80センチの高機と、 縦60センチ×横40センチ、 縦70センチ×横50センチの卓上機が2種類。 10月16日の丹波市産業交流市に試作品を展示、 販売することを目標にしている。 同会は、 「機を制作する仲間が増えることを願っている。 地域の公民館などを借りて、 子どもや大人を対象に、 教室を開き、 機作りも普及したい」 と夢を広げている。
同会は、 丹波布伝承館で丹波布を学んだ妻のために、 機を手づくりした井下代表 (63) =青垣町大名草、 同じく妻が丹波布を学ぶ芦田泰三さん (42) =同町佐治、 木工業を営む上畑裕之さん (44) =春日町下三井庄=の3人でつくる。 上畑さんの木工所に日曜日ごとに集まり、 機の構造から勉強を始めた。
丹波布を制作する作業工程の中で、 織りの作業時間は短い。 作業が終われば、 用も済むため、 物置にしまいこんでしまうケースも多く、 場所をとるのが難点だった。 3人は上畑さんの木工所で、 丹波布伝承館の明治、 大正時代のころとみられる、 部品のそろっていない機を復元しながら構造を学び、 保管しやすい機を作るために構想を練ってきた。
「伝習生が伝承教室修了後も丹波布を続けられるように、 家庭でも手軽に使ってもらえる道具を開発したい。 機だけでなく、 整形台や千切巻機などを手作りし、 丹波布伝承館の修了生に提供することで、 活動を支えたい」 と井下代表。 芦田さんは 「機織りを終えたあと、 容器に収納しやすいコンパクトな機を作りたい」、 上畑さんは 「かつては、 地域に木工所がたくさんあったが、 今は、 減ってきている。 商品化につながれば、 地場産業の活性化にもなる」 と期待感をにじませた。
問い合わせは、 井下代表 (090・9276・3189)。