義父の遺志継ぎ再開 柏原北山簡易郵便局

2011.12.29
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 亡き義父の遺志を引き継ぎ、 丹波市柏原町田路の上田育子さん (46) が、 丹波市内で唯一の簡易郵便局を再開する。 「柏原北山簡易郵便局」 (同町北山) で、 1月10日開局の予定。 郵便局で40年も勤務した義父が、 地域の人たちのためにと営んでいた同郵便局だが、 昨年7月に死去。 同時に閉局となった。 上田さんは 「地域の郵便局を守りたいとがんばった父の思いを受け継ぎ、 お役に立てる局をめざします」 と話している。

 義父は、 柏原郵便局などで勤務した上田廣明さん。 同郵便局は、 旧新井村農協の組合長が1962年に開設したのが始まり。 廣明さんは、 JAの店舗再編に伴って同郵便局が閉鎖されることになったとき、 「地域から金融機関の窓口がなくなれば困る人が出てくる」 と、 局の業務受託を申し出た。

 2006年10月に開局。 局長として奮闘した廣明さんだが、 病に侵され、 72歳で亡くなった。 郵便局近畿支社に 「あと3年、 私が運営します」 と告げた翌日だった。

 06年の開局から同郵便局で勤務していた上田さん。 家族や親戚の後押しもあり、 後継者として名乗りをあげた。 郵便局の場所は同じ北山地区内だが、 丹波年輪の里近くに移転。 廣明さんの残してくれた土地とお金を生かし、 延床面積約60平方メートルの平屋建て局舎を新築した。 「病床にあっても、 地域のために郵便局を営もうとした父の思いが形になった局舎です」 と上田さん。

 1年半ぶりに再開する同郵便局。 上田さんは 「地域の人から 『郵便局がなくなって不自由していたけど、 再開され、 うれしい』 という言葉をいただきます。 がんばらなければと思う」 と話す。 「温厚で、 ユーモアもある父でした。 局長としても、 父としても尊敬していました」。 局舎には、 廣明さんの写真を掲げる予定という。

 同郵便局には、 廣明さんの妹で、 前の局でも働いていた田原裕子さん (68) =同町北山=や郵便局OBらも勤務。 郵便、 貯金、 為替振替、 交通違反の反則金納付などの事務を扱う。 営業時間は午前9時―午後4時。

 簡易郵便局は、 地方自治体や農協、 個人などが受託して開設している郵便局で、 取り扱い事務量が少ない地域などに設置される。

 

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