住民の力でアライグマ退治 箱わな100台設置へ「大山捕獲隊」

2012.01.15
ニュース

 近年、 生息域を急激に拡大させ、 農作物被害だけでなく、 人家侵入による家屋の破壊など、 被害を深刻化させているアライグマを排除しようと、 篠山市大山上集落の住民が中心になって 「大山捕獲隊」 (西牧正美隊長、 15人) を結成。 県森林動物研究センター (丹波市青垣町) などの支援を受けながら、 まずは同集落内での根絶に向けた取り組みを展開している。

 同センターのほかに、 ▽篠山市▽学識者からなる 「アライグマ研究グループ」 ▽環境コンサルタント 「ジャパックス」 ―と連携。 技術支援などを受けながら活動を展開している。 県の 「地域づくり活動支援モデル事業」 の助成を受けており、 助成金を活用して箱わな100台や自動撮影カメラなどを購入した。

 冬季はアライグマの行動が不活発となり、 捕獲しにくい時期とされるが、 冬場の行動パターンやえさの嗜好性などを探るため、 同集落内に箱わな45台を設置。 隊員らは日々、 わなを見回り、 2日に1度、 仕掛けのえさを交換するなど、 生息状況を調べ、 捕獲も行っている。

 これらの記録は日誌に記入し、 県内では不足している冬場のアライグマの行動や生態を解明するためのデータとして収集している。 行動が活発化する春までに100台すべてを設置し、 今年9月末までの捕獲目標を100頭と掲げている。

 隊員らは、 活動を通じて 「アライグマの場合、 箱わな設置から6日以内に捕獲できなかった場所は、 それ以後も効果は見込めない」 など、 現場でしか知り得ない数多くのノウハウを習得したほか、 同じ集落に暮らしながらも疎遠だった住民から、 捕獲依頼や目撃情報などが寄せられることで交流が生まれ、 アライグマが結ぶ縁でコミュニティ

ーが深まっているという。

【アライグマ】

 北アメリカ原産。 尾を除いた体の長さは40―60センチ。 雑食性で夜行性。 水辺を好む。 交尾期は1―2月、 出産期は3―4月。 産子数は3―6子。 妊娠に失敗したり子どもが死んだ場合には、 夏から秋に再交尾・出産することもあるという。 日本では外来生物法により特定外来生物に指定されているため、 無許可での飼育、 譲渡、 販売は禁止されている。

 

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