知人の米国人、Lさん名でeメールが届いた。「家族と一緒にスペインのバルセロナに旅行中、4人組の強盗に襲われ、身ぐるみ奪われた。大使館も警察も全然親身になってくれない。必ず返すから1450ドル送ってくれないか」という英語の文面。▼Lさんはロスに住む筆者の友人の友人で、数年前、夫妻で日本に来た時に自宅に泊めたことがある。フェースブックで友達になったが、個人的な交信はしていない。▼返信して振込先を尋ねるほどの義理もないが、旅行好きと言っていた屈託ない夫婦の顔を思い浮かべると、気の毒ではある。しばし思案した後、「いや、ちょっとおかしいぞ。Lさんなら、『家族と』でなく、奥さんの名前を書くのでは…」と気付いた。▼IT通の知人に相談すると、「ははぁ、ネット版の振り込め詐欺だね」。文面からキーワードを拾って検索すると、どこかの先生らしい人が「こんなメールが来たら」という日本語の、英文入りブログを発信していた。教え子の名で来た英文メールは、「バルセロナ」が「マドリード」になっているほかは、そっくり同じ。▼この先生は勇敢にも「ところで君の娘さんの名前は?」などと返信し、からかいながら相手をやり込めたという。それにしても、知らぬ間に勝手に名前を使われるとは、恐ろしい。さわらぬ神にたたりなし!(E)