癸巳

2013.01.10
丹波春秋

 安岡正篤の干支(えと)学を研究する関西師友協会の「癸巳(きし=みずのと・み)」の解説書を会員から頂いた。▼「癸」は器を立てる台座。その間隔によって上下、軽重、長短、大小などをはかる意味を持つ。「巳」は蛇。「四月陽気巳(すで)に出で」の如く、「冬眠していた蛇が地上に這い出て新たな生活に入る」。つまり「基準や原則に則って筋道を立てて思考・行動し、改革に取り組む年」なのだそうだ。▼60年前の1953(昭和28)年は、前年に占領体制から独立。日本航空の創立、NHKテレビ放送開始など戦後復興への道を進み始めた。さらに60年前の1893(明治26)年も近代国家に向けて文官任用令の制定、法典調査会の設置などがあった。▼「政治の基礎となる法則・基準は憲法や教育にある。今年こそは占領下で作られた古着を脱ぐ時」というのが、師友協会の強調するところらしい。▼安倍政権が始動する今年、改憲案を発議できる国会の憲法審査会の活動が本格化する。論点は多々あるが、すべてを一度に変えようとしても、エネルギーのみ多く効は少なかろう。「占領下」云々よりも、まずは決められない政治をどう解決するかに絞って、憲法を触らずに出来ることも含め多角的に議論を深めるべきではないか。とまれ、審査会の動向に十分眼を向けたい。(E)

 

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