新連載のコラム「猫も歩けば希望に当たる」(本紙5面掲載)の筆者、竹安修二さんは高校時代の同級生である。スポーツ万能で、努力しなくても勉強ができた。自他ともに認めるお調子者で、クラスの人気者だった。▼そんな彼に、人生の転機が40代半ばで降り落ちた。多発性硬化症という難病に侵されたのだ。両足が不自由なため車いす生活になり、利き手の右手が使えず、左手でフォークやスプーンを握って食事する身になった。▼ずいぶん苦しんだようだが、「昔から友達や上司にノーテンキと言われてきた」という彼。見事に苦しみをすり抜けた。「たかが歩けないだけ、たかがお箸を持てないだけ」と切り換えた。▼コラムのタイトルは、彼の座右の銘。犬と比べてマイペースのイメージがある猫は彼そのものであり、猫のような自分であっても、わずかずつでも歩みを進めて行けば、希望にぶち当たるという意味を込めた。▼「生涯青春」も座右の銘。「失敗しても若気の至りですませば、ええやん。失敗したら、ちょこっと反省して、やり直したらええやん。死ぬまでね」と屈託なく笑う彼は、高校時代に見た底抜けに陽気な彼そのままだった。「自称B級エッセイスト」を職業とし、「芥川賞作家をめざす」という彼の軽妙なコラムを楽しんでいただければ、幸いです。(Y)