謎は謎のままで

2014.07.03
未―コラム記者ノート

 篠山市当野の大歳神社でユニークな神事と出会った。地元の皆さんが「ちまきのお当」と呼んでいる年中行事で、集落の青年団による獅子舞が神社の軒下に吊るされた巨大ちまき(長さ約60センチ、重さ約5キロ)にかぶりつき、五穀豊穣や無病息災、子孫繁栄などを願うというもの。
 「なぜ、ちまきはこんなにも大きいのですか。どうして獅子舞がちまきにかぶりつくのですか」と私。地元の古老いわく「知らん、昔からそうしとったんや」―。
 なんでもかんでも白日の下にさらそうとするマスコミ業界の端っこに身を置く記者でありながら、謎を謎のままにしておくのはいかがなものか、とも思うが、小さな集落でひっそりと、はるか昔から継承されてきた神事は、少し謎めいていた方が良い。すべての伝説や神がかり的な現象が、科学で解明されてしまう少々つまらない現代社会においては、いわれや意味が不明というのは、逆に大きな魅力となる。
 取材を通して、神事や祭礼には「?」が実に多いことに気づく。数多くの「?」が残るこの篠山に改めて愛着を感じている今日この頃。謎は謎のままでいい。(太治庄三)
 

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