夏の終わりに

2014.08.30
未―コラム記者ノート

 「子どもたちの絵日記が真っ白のまま。いい加減、どこかに連れて行ってやってよ」といつもに増して強い口調の妻。「忙しい」が口癖となり、そのせりふを念仏のように唱え続けていたら8月も下旬になっていた。確かにどこにも連れて行ってやれてはいない。さすがに申し訳なく思い、重たい腰を上げた。
 目的地を日本海側にある水族館に設定し、車をひたすら北へと走らせた。2時間半ほどで到着。イルカやアシカのショー、巨大水槽の中を悠然と泳ぐ海の生きものたちに興奮し、「すげー」を連発。そんな声をあげていたのは、どうやら我々大人だけのようで、子どもたちはそれよりも海の生きものに触れるコーナーに夢中。ヤドカリやアメフラシをわしづかみして喜んでいた。「それならば」と、きれいな砂浜が広がる竹野浜へ寄り道。期待していた生きものの姿は見られなかったが、子どもたちは引いては寄せる波に延々と戯れ、歓声をあげていた。大した夏の思い出にはならなかったかもしれないが、こうして家族が平穏に過ごせていること自体が何より喜ぶべきことと心の底から感じられる今年の夏であった。(太治庄三)

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