大石さんからの「喝」

2014.08.07
未―コラム記者ノート

 先日、ドキュメンタリー写真家、大石芳野さん(東京都)が講師を務める子ども対象の写真教室が篠山で開かれた。大石さんは、写真界の直木賞と呼ばれる土門拳賞をはじめ、紫綬褒章などを受賞した屈指の実力者。ベトナムやカンボジア、チェルノブイリなどで女性や子どもらにレンズを向け、平和であることの大切さを訴え続けている。
 写真教室では、「ふるさと篠山」をテーマにカメラを構える子どもたちに撮影のノウハウを伝えながら、しきりに「なぜこの写真を撮ったの」と、問いかけられていた。大石さん曰く、「カメラの性能が向上した今、誰でも簡単に写真が撮れるようになった。だからこそ、『何となく撮った』ではなく、なぜこの被写体を撮りたくなったのかを考えるようにしてから撮らないと上達は難しい」と話されていた。
 写真の主流がフィルムからデジタルに移行してからというもの、瞬時に写真の仕上がりを確認できる利便性の上にあぐらをかき、写真の質が停滞している私。この言葉は、そんな今の私に「喝」を入れてくださったようにも聞こえ、ドキッとした。(太治庄三)
 

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